浪人していて中途半端な大学の3年生。
こんなダメダメな僕が就活を初めたのは11月。

地元で働きたい。土日休みたい。転勤は嫌だ。
働くという事に対して消極的な中での就職活動。
夢も希望も無く、平穏な日々が欲しいだけだった僕は、
こんな程度の理想しか最初から用意していませんでした。

内定をもらったのは大学4年の4月。
選考中の所は他にもいくつかありましたが、
エリア内転勤さえも嫌がり、全て辞退しここに決定。

これが間違いの始まりでした。


大学を卒業し会社へ行くと、採用時の話とは全く違う現実。
何がコンサルタント業だよ。何でもいいから売ってこいの泥営業でした。

基本的には事務所で使うような物の法人営業です。
時々、電気屋さんやホームセンターに行って、買って、転売します。
この業務内容は予定と違いましたがそこまで嫌でもありませんでした。

この会社の一番の問題は、経営者が狂っている事でした。

まずは勤務時間。

朝は7時に来い。早く来る奴はエラい。やる気がある。
夜は10時までいろ。遅く残ってる奴はエラい。やる気がある。
こんな有様です。当然の事ですが、残業代なんて1銭も出ません。

早く来て、遅く居て、やる仕事があるならまだ分かります。
でも実際には仕事なんてものは何も無く、ただ、ただ、
経営者様のありがた〜いお話を拝聴させて頂くのであります。

会社はこの経営者様のお世話で仕事が出来ないといった状態でした。
必死に取ったお客様とのアポも商談も、全て経営者の一言でキャンセルです。
その理由は「机の配置が変だ」とか「ボールペンが出しっぱなしだ」とかです。
そこから大騒ぎになってお説教が始まって日が暮れます。

経営者様が「この書類どこかにしまっとけ」なんて事を言います。
これは普通の光景なんですが、ここからがブラック企業の見せ場です。
その時社内にいる全員が「はい!」と言い瞬時に立ち上がり、
その書類の所へと駆け寄り「私がやります」「いやいやこれは私が」と、
このようにして社内全員で奪い合う儀式を行わなければならないのです。

またある日は、その経営者様の偉大さを学ぶ儀式が開かれます。
そこで社員はそれぞれ、経営者はこんなに凄い人なんだと褒め讃えるのです。

彼は同族会社の数代目の経営者。
日頃の言動からどう考えても異常に頭が悪く、
経営者というプレッシャーにはとても耐えられなかったのでしょう。

彼は宗教的なもの、それも相成れない真逆の考え方のモノ2つにハマってしまいました。
正確には宗教でもマルチでも無いんですが、そのギリギリを装っている感じのものです。

人の趣味を否定する気は一切ないんですけど、経営者が宗教的なものにハマると、
必ずと言っていいほど、社員に強要しますよね。この会社も例に漏れずでした。

ただ一つだけ言わせて貰うなら、矛盾した2つに同時にはハマらないで欲しかったです。
その内容を詳しくは書けませんが、もはや正気の沙汰とは思えませんでした。

売る物もない、利益もない、ボーナスもない、あるのは会社の借金と宗教グッズのみ。
入ってから知った事ですが、20人規模の会社なのに過去2年で20人辞めてるって…。

今一番売上のあるお客様にもその経営者はものすごく嫌われていましたし、
その経営者が嫌という理由で大きな取引先との関係が何か所も途絶えていました。


意志の弱い社員は会社のあぶない雰囲気にすっかり飲まれていました。
しっかりしていると思ってた僕も、無意識に影響は受けていたように思います。

このままでは本当に自分が危ないと思い、迷う余地無く辞める事を決意しました。
会社を辞めると言ったその日から天国。羽でも生えたんじゃないか?
ヘンな薬でも飲まされたんじゃないか?って位に、体も心も軽くなりました。

経営者はその日から、僕に対して遠まわしに嫌味を言ったり、
無視したりしていましたが、そんなのは屁みたいなものでした。
だってあと一ヶ月後にはこの会社とオサラバ出来るんだから!

ただしこの一ヶ月はかなり重要です。準備しなくてはならない事もあります。
相手がどういう手に出てくるのか、お互い探り合っているという状態でした。

僕はこれまで、毎日の勤務時間を全てメモしていましたし、法律も勉強しました。
残業代が一切未払いの給与明細も奇麗にクリアファイルに入れて保管してあります。

辞める前に労働条件相談センターに行き、争うなら集めた証拠で勝てるのかと、
どういう手順でどんな事をしていったらいいのかを事前に纏めて、全部聞きました。

弁護士を目指す知り合いに、労使に強い弁護士さんも紹介してもらいました。
労務局など必要な場所の電話番号もしっかりケータイに登録済みです。

余談ですが、もし争う事になっても労務局で結構何でも対応してくれるみたいです。
お金がかかるんじゃ?と思っている人も心配無用。詳しくは自分で調べてみて下さい。
自分で調べる癖を付けておかないといざという時に負けますからね。

宗教的なものにハマっていたという証拠や、それを強要する音声、
宗教的なものの行事に強制参加させられた時の画像、揃える物は全て揃えました。

だいぶ昔ですが、架空会社を作って脱税していた証拠も、
他社の見積書の偽造を指示したメモ書きも、労働基準法は悪法だって言った事も…。

こうした準備を全て済ませているという事が間接的に経営者へ伝わるようにも仕向けました。

意味の分からない賃金未払いの洗脳行事にも、全部参加してやりました。
相変わらず無視している経営者に、普通のテンションで話しかけまくってやりました。

そんなこんなで、無事に何事も無く退職する事に成功しました。
最後の一ヶ月間は、こっちがペースを握ってる感じで楽しかったです。


無職になって1日目。午前中はゆっくりと休み、午後から頭を動かし始めます。

詳しくは下の記事に書きますが、次に同じ目に合わない為のルールを決めます。
もう二度とブラックでは働きたくなかったので、過ぎる程に厳選しました。

結果、これに該当する会社というのはほとんどありませんでした。
それもそのはず。この条件を地元の県のみで探していたからです。

たまに出てくるのは、システムエンジニアやプログラマー、建築CAD設計などです。
パソコン自体は比較的よく使っていましたが、こういった専門知識は全くありません。

そうとなったら行動するしかない。僕は本屋へ行きCADや言語本を。
昼は就活、夜は独学で一日一冊を無理矢理読破+パソコンで実践という日々。

また求人の無い会社にも電話をして面接のアポ入れをしました。
悲しい事にテレアポも飛び込みも慣れたもんですから普通にしてました。

いくつか面接を受けていく中で、CADは操作出来るだけじゃなく、
建築などの知識が別で無いとなかなか時期的にも厳しいという事が分かりました。

SEやPGはそう焦らなくても採用されそうだということも分かりました。
(ちなみに僕の感覚ではSEやPGの質の激務は何とか許容範囲です)

それからは、分類するのも難しいような専門職やほぼ独占状態のルート、
編集や構成やデータベース系のお仕事にも目を向けるようになりました。

そしてたまたま縁のあった今の会社に入社する事が出来ました。
ホワイト企業で働くには、まずブラック企業の定義付けをしなくてはなりません。
僕はこのようなルールを設けて、これらをクリアした会社をホワイトと仮定しました。

●体育会系的な会社は避ける(面接時に判断)
理由は、僕には全く合わないとブラック経験で分かったから。

●愛想笑いの多い会社は避ける(面接時に判断)
理由は、面接者でも分かる程の歪んだ空気だと判断出来るから。

●中小零細で同族会社は避ける(事前に判断)
理由は、この規模だと会社が完全に私物だから。最悪息子や孫が遊びに来る。

●社員20人以下の会社は避ける(事前に判断)
理由は、経営者の介入が行き届くだけの人数だから。

●総務や人事に経営者の親族がいる会社は避ける(面接時に探る)
理由は、実質的に同族会社みたいなものだから。

●社名に経営者一族の苗字が入っている会社は避ける(事前に判断)
理由は、経営者の自己顕示欲の強さがにじみ出ているから。

●夜9時に電話をしてみて普通に出る会社は避ける(事前に確認)
理由は、それが日常だと判断出来るから。普通は業務終了の案内を流す。

●モノを右から左に受け流してるだけの会社は避ける (事前に判断)
理由は、医療関係など専門的な物以外では時代の限界だと感じるから。

●新卒も中途も常に募集している会社は避ける(事前に確認)
理由は、年がら年じゅう人が辞めてると予想出来るから。逆にどちらかのみなら狙い目。

●法律的におかしなルールが複数ある会社は避ける(面接時に探る)
理由は、経営者の歪んだ介入度の高さが判断出来るから。

●セミナー等にハマっている経営者の会社は避ける(面接時に観察)
理由は、定まっていなきゃならないものが定まっていない証拠だから。

●宗教的なものにハマっている経営者の会社は避ける(面接時に観察)
理由は、宗教は自由だと思うけど、大抵押し付けと洗脳が強要されるから。

●鬼ノルマ系の話をよく聞く業界は避ける (事前に判断)
理由は、実質人間が使い捨てで耐え抜けるのは体育会系+頭の回転の速い人だけだから。

●営業系なのにノルマ全くなしも避ける(面接時に探る)
理由は、一部独占に近い専門的なルートを除いて売るものが無い証拠だから。

●タイムカードの機械が設置されていない会社は避ける(面接時に確認)
理由は、残業代という概念が無い会社である可能性が高いから。

●土日祝日休みじゃない会社は避ける(事前に確認)
理由は、嫌だから。

●残業代の出ない会社は避ける(面接時に確認)
理由は、法律違反だから。

●全国転勤のある会社は避ける(事前に判断)
理由は、嫌だから。

●有給休暇を実際には取れない会社は避ける(面接時に確認)
理由は、法律違反だから。

●正社員以外は避ける(面接時に確認)
理由は、嫌だから。

これは僕にとってのホワイトになります。
見て分かる通り、ホワイトの定義は人によって全然変わります。
僕の場合は給与へのこだわりが低いので、ルールに含まれていません。

これに該当する企業や職場を探して面接にこぎつける、この作業を繰り返すのみです。


履歴書と職務経歴書は大量生産が求められるので、全部データで準備しました。

手書きの方が気持ちが伝わるなんて言われますが、とにかくやたら字が汚いので、
データで作った方がよっぽど見やすい事と、個人的にはそこに気持ちを感じない事と、
そんな気持ちで判断されるような会社はブラックなんじゃないか?という思いから、
例え大量に必要でなかったとしても最初から手書きで用意する気はありませんでした。


具体的な企業探しはハローワークDODAのみを使いました。
理由は、どちらも実質的に、転職に特化したサイトだからです。

別にリクナビNEXTやマイナビ転職でも良かったのですが、
新卒のマイナビからこのブラック企業に入社してしまった経験から、
トラウマというか、そういった特に意味のない感情から使うのを避けました。
有名な所はブラック率も高くなる印象があるので厳選する手間を省く意味でも避けました。

これまでの経験や技術に何か自信を持てるものがあるなら、
@typeなどの経験やキャリアを売りにした転職サイトなど、
転職支援系のエージェントを使ってみるのもいいとも思います。
実際に何が価値あるキャリアとなるのかは、素人の考えでは限られてきます。
本人が何とも思っていない事が、意外にも凄いキャリアになる可能性だってあるんです。

ハローワークのサービスだと規模がどうしても小さい会社も多いのですが、
その分競争倍率も低く、中には掘り出し会社もあると判断して探していました。
また実際に足を運べば、失業中の様々な相談も出来るので情報集めにも便利です。

DODAでの狙いは非公開求人です。
コネが無くても入れる可能性があるホワイト企業、
そんな求人がもしあるとするなら、それはいったいどこにあるのか。
勿論他にもあるのでしょうが、考えた末に辿り着いた答えがそれでした。

考えてみれば、ホワイトな求人というのはそれだけで非公開でありたいものなのかもしれません。
僕の入った会社はとても個人情報に厳しく、社内の物を持ち出す事も一切禁じられています。
あまり詳しくは書けませんが、扱う仕事の内容によっては求人さえも非公開にしたい、
そういう求人は世の中に沢山あるでしょうし、そういう所こそホワイトなのではないでしょうか。


企業がブースを設けて行う合同の転職フェアのようなものは一度だけ行きましたが、
結局あれは新卒採用時のそれと同じで、ブラックの中に光る原石を探す場であって、
その後の転職活動に役立つようなものは、特に見当たらないように感じました。


面接は全て、かなり強気に受けました。
元々面接は苦手ではなかったし、営業で更に鍛えられたので、
気持ちの上では面接というよりも飛び込み営業の感覚で行いました。

先に決めた条件から、どうしても専門職、技術職が多かったのですが、どれも未経験。
でも「やります」「覚えます」こう言い切るしかないじゃないですか。
だからそこには一切の迷いを断ち、嘘は付かずにハッタリをかます!
矛盾しているようですが、気持ちとしては本当にそんな感覚でした。

あとは面接の中で何かしらいい印象を持ってもらえるように心掛けました。
当り前の事と言えばそうなんですが、頂いた名刺を名刺入れで座布団にしたり、
行く前に電話で時間通りにお伺いしますと連絡を入れたり、先に挨拶をしたり。
ここで意識したのは、社会人になる前までは知らなかった事をやる、という事です。

そんなこんなで、3週間で面接を受けたのは15社。
結果4社から内定を頂きました。それでもまだ強気を続けます。
一番安全だと思った1社を除いて、全て1ヶ月間の保留を希望しました。
どうして1ヶ月保留なのかも全て正直に伝えました。嘘も揉め事も面倒です。
もし無理でしたら申し訳ありませんが辞退させて頂きますと伝え、待ってもらいました。

働いてみて、安全を確認して、辞退を申し入れました。


これが、僕のブラック企業からホワイト企業への転職に成功した時の行動の全てです。
結局地元では納得のいく会社が見つからず、地元よりの東京で働いています。
自分で決めた全ての条件を満たした、中途しかいない狙い目に転職する事が出来ました。

元々はその会社の別業種での求人だったのですが、面接だけでも受けさせて下さい!
と飛びついた事、その会社では自分が最も若かった事、自分の得意な事、
(とは全く考えてもいなかった事)が会社の求めるものとマッチしていた事、
会社がたまたま忙しく、ちょうど人手が欲しいタイミングであった事、
会社で働いている人が、皆それぞれ激ブラック出身者であった事…。

運もあって、ホワイトへの転職に成功しました。しかも月給まで若干上がりました。
ボーナスも残業代もちゃんと出るので、今までの年収とはとんでもない差が付きます。

正直、働く事って楽しい、なんて思っています。こんな事思える自分が気持ち悪いです。
元々働く事は好きではなかったので、これもブラックを先に経験したお陰だと思っています。
一言でまとめるなら、死なないで下さい。

ブラックな職場環境に苦しんでいる人は日本にかなり居るはずです。
辞めるのか、辞めないのか。静かに去るのか、大ゲンカするのか。

結局どうするのか、決断するのは自分ですし、
決断しない事には一生煮え切らないままです。

一生煮え切らないままならまだマシかもしれません。
下手すれば精神的にやられたり、体を壊したり、突然クビにされたり、
遺族が労災を巡って争う映像を天国から地デジで見る事になるかもしれません。

ただ、この決断は極力若いうちがいいと僕は思います。
12ヶ月の雇用保険の納付実績をクリアしているなら即です。

なぜかと言うと、結婚して、子供が出来て、そうすると身動きが取れなくなるからです。
僕が前に働いていた会社もそうでした。子供の出来た先輩は動けないと言っていました。
僕が辞める時に上司は、子供がいなきゃ俺だってすぐ辞めるのになぁと嘆いていました。

逆に、若くないなら煮え切らないで逃げ切る作戦もアリだと思います。

大ゲンカをするのは、よっぽどの事じゃない限り、僕はやめた方がいいと思っています。
なぜなら次の転職先へ圧力や嫌がらせをしてくる事が実際にあるかもしれないからです。

ただ、もし相手から大ゲンカを仕掛けられそうになった時に困らないように、
事前準備や法律相談、証拠集めはしっかりとしておいた方がいいとも思います。


世の中にはブラック企業に馴染める人と馴染めない人とがいます。
馴染める人と馴染めない人とで何が違うのかは分かりませんが、
僕が実際に見た限りの範囲では、あまり物事を深くは考えない、
物事に疑問を抱かない人ほどブラックに馴染めているようでした。

ブラックに馴染めない僕たちは、考え過ぎなのかもしれません。
でも法律であったり、人それぞれ超えてはいけない一線だったり、
そういうものが気持ちにある以上、馴染む事は難しいと思います。

ブラックに馴染めずに辞めていった無数の先輩、今はどうしていますか。
ブラックを転々とする人、コネで救われた人、フリーターな人、ホワイトな人。
考え過ぎが癖なら考えに考えて、考えを武器にブラックからホワイトへ脱出しましょう。

何がいけなかったのか、何が譲れないポイントだったのか、
頭の中だけでなく紙に書いて整理して、次の転職に必ず活かす。

運も必要でしょうが、考える事で運の占める割合を極力減らす。
そうすれば、ブラックから逃れられるはずです。

それが出来るだけの精神的なタフさを、
ブラックで生きる中で無意識に身に付けているはずです。

一番大事なのは、転職活動を実際に始める行動力です。
会社を辞める決断ではありません。会社を辞めなくても軽くなら転職活動は出来ます。

始めてみるだけで、休みの日に面接をしてみるだけで、
世の中は思ったよりも広いんだって事を意識出来ます。僕はそうでした。

ブラックで働いていると、それが当たり前かのような錯覚、
洗脳というか思考停止状態に、無意識にさせられてしまいます。

ブラックで心も体もボロボロなら、それは仕方のないことです。
だからこそ親や友達や彼女や奥さん、大事な人の言葉を聞いてみましょう。

一人でも多くの人がブラックから抜け出せたらいいなと思ってます。